中小企業の知的財産戦略を考える-①知的財産とは

まず、知的財産戦略について考えるに当たって、知的財産とはどのようなものをいうのかを見て行きたいと思います。

知的財産については識者の間で種々の捉え方をされていますが、ここでは中小企業基盤整備機構の「知的資産経営マニュアル」に沿って、知的財産権、知的財産、知的資産、無形資産の関係を、以 下の図のように整理して議論して行きたいと思います。


無形資産とは



「無形資産」とは、土地、建物、機械設備などの有形資産に対して、 物質的実体を持たないが、権利などの形で売買したり、合併などの企業結合により移転することが可能な資産の総体をいいます。

無形資産は企業の本質部分を占めるにもかかわらず、 借地権 、電話加入権、コンピュータソフトウェア購入費など無形固定資産として計上されるものを除いは企業の財務諸表等には表れてきません。

ただし、 企業買収にあたり当該企業の買収価格が、その純資産の時価評価を大きく上回る場合に、この時生じた買収価格と時価評価純資産の差額を、「のれん代」として、財務諸表上表れることがあります。

知的資産とは

「知的資産」とは、「無形資産」のうち、借地権、電話加入権等「無形固定資産」を除く財務諸表に表れていない「無形資産」のことをいいます。

平成17年10月「知的資産経営の開示ガイドライン」が経済産業省より公表されて以来、企業の超過収益力あるいは企業価値を生み出す源泉として、「知的資産」の活用について多方面で活発な議論 が展開されています。

知的資産経営マニュアル」 では、知的資産とは「従来のバランスシート上に記載されている資産以外の無形の資産であり、 企業における競争力の源泉である、人材、技術、技能、知的財産(特許・ブランド等)、組織力、経営理念、顧客とのネットワーク等、財務諸表には表われてこない目に見えにくい 経営資源の総称」を指すものとし、これらを「見える化」することで知的資産経営の促進を図ろうとしています。

知的財産とは

「知的財産」とは、 「知的資産」のうち、 知的財産基本法 で「発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活 動により生み出されるもの(発明または解明がされた自然の法則または現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品また は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報 をいう。」と定義しているものをいいます。


知的財産権とは

「知的財産権」とは、「知的財産」のうち、 知的財産基本法 で 「特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他 の知的財産に関して法令により定められた権利または法律上保護される利益に係る権利を いう。」 と定義しているものをいいます。

知的財産権の種類


「知的財産権」は、下図のように特許権や著作権などの創作意欲の促進を目的とした「知的創造物についての権利」と、商標権や商号などの使用者の信用維持を目的とした「営業上の標識についての権利」に大別されます。

また、特許権、実用新案権、意匠権、商標権及び育成者権については、客観的内容を同じくするものに対して排他的に支配できる「絶対的独占権」で、一方、著作権、回路配置利用権、商号及び不正競争法上の利益については、他人が独自に創作したものには及ばない「相対的独占権」です。

これらの「知的財産権」のうち、特に、 特許権、実用新案権、意匠権、商標権 については、「産業財産権」と呼ばれ、強力な保護が図られています。


種類 関係法令内容保護期間
特許権特許法発明(技術思想・アイデアなど)の保護出願から20年
実用新案権 実用新案法 考案 (技術思想・アイデアのうち 物品の構造、形状 など)の保護 出願から20年
意匠権 意匠法 物品のデザインの保護登録から20年
商品形態 不正競争防止法 商品のデッドコピー 販売の日から 3 年間
著作権 著作権法 著作物 ( プログラム、論文、文芸、音楽等 ) ・著作者の死後 70 年間
・法人著作物
は公表後 70 年間
・映画の著作権も公表後70年間)
回路配置利用権  半導体集積回路の回 路配置に関する法律 半導体チップレイアウト(回路) 登録の日から 10 年間
育成者権 種苗法 植物新品種 登録の日から 25 年間
果樹等の永年性植物は30年間
営業秘密 不正競争防止法 トレードシークレット ( ノウハウ、営業マニュアル、顧客リスト等 ) 無期限
商標権 商標法 商標( 商品、サービスに使用するマーク )の保護 登録の日から 10 年間 (更新可能)
商号 会社法、商法 商号の保護 商号登記ある限り無限
商品等表示 不正競争防止法 混同惹起行為 ・ 著名表示冒用行為 無期限



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