ハーグ協定による外国への意匠の国際出願


ハーグ協定による国際出願とは


ハーグ協定による国際出願とは、意匠について、国際事務局(WIPO)への一つの国際出願手続により国際登録簿に国際登録を受けることによって、複数の指定締約国における保護を一括して可能とするものです。 


ハーグ協定による国際出願のメリット


手続の簡素化


国際事務局への一つの出願手続で、 複数の締約国に出願した場合と同等の効果を得ることができるため、各国ごとに願書 を作成し、提出する必要がありません。
また、出願する意匠が国際意匠分類の同じ類に属する場合、一つの出願に最大1 00の意匠を含むことが可能です。

権利管理の簡便化


国際登録の権利は国際事務局において一元管理され ます。 よって、5年ごとの権利更新や国際登録の変更(所有権の移転、名称変更、放棄、 限定等)の手続を、各国ごとに行う必要はありません。

経費の削減


基本的には各国別の現地代理人の選任は不要であるため、そのための代理人 費用は発生しません。
ただし、指定締約国での実体審査の結果、拒絶の通報が通知され、その応答を指締約国に行う場合等には、その国の代理人の選任が必要となる場合があります。
また、国際登録簿への記録及び 国際意匠公報の発行に必要な翻訳は全て国際事務局が行いますので、翻訳費用が発 生しません

迅速な審査


指定官庁が拒絶の理由を発見した場合、国際公表から 6ヶ月(又は、実体審査国の場合各国の宣言により12ヶ月)以内に国際事務局に対し て拒絶の通報を送付しなければなりません。
従って、登録の可否は実体審査国でも国際公表から最大12ヶ月以内に判明します。


ハーグ協定による意匠の国際出願の流れ


ハーグ協定による意匠の国際出願の流れは以下のようになります。


1.国際出願
2.方式審査
3.国際登録
4.国際公表
5.実体審査・権利発生
6.維持管理



1.国際出願


■ 国際出願の方法には、① 国際事務局への直接出願 と② 日本の特許庁を通じて行う間接出願があります。

■ 国際出願言語として認められているのは、英語・フランス語・スペイン語です。

■国際分類はロカルノ協定に基づき行い、国際出願に2以上の意匠を含める場合には、それらの意匠の全てが国際意匠分類の同じ類に属するものでなければなりません

■ 国際出願の願書は国際事務局が定めた公式様式【DM/1】により作成します。


2. 方式審査


■国際事務局は、国際出願を受理し、方式審査を行います。方式審査で出願書類の記載等に不備が発見された場合は、補正が可能(3月以内)です。

3.国際登録


■国際事務局は、方式審査を行った後、直ちに国際出願された意匠を国際事務局が管理する国際登録簿に登録します。

■国際事務局から不備の補正を求められた場合も、補正の受理後に直ちに登録されます。

■国際出願の出願日が、国際登録の日となります。ただし、国際出願時に追加される必須の内容に関連する不備がある場合には、その不備の補正を国際事務局が受理した日又は国際出願日のいずれか遅い日となります。

4.国際公表


■国際登録された意匠の内容は、国際意匠公報において公表されます。

■国際公表の時期は、原則、国際登録の日から6月後です。

■出願人の請求により、国際登録後の即時公表又は公表の延期(最大30月)を選択することも可能です。

5. 実体審査・権利発生


■指定国の官庁は、国際登録の対象である意匠が自国の法令に基づく実体的な保護の要件を満たしていない場合に、その国際登録に基づく保護の効果を拒絶することが認められています。

■拒絶の通報が可能な期間は、国際公表から6月又は12月以内です。

■拒絶の通報は、国際登録簿に記録され、その写しが国際登録の名義人に送付されます(代理人がいる場合には代理人宛てに送付)。

■拒絶の通報を受けた国際登録の名義人には、当該指定国に直接出願した場合と同じ救済手段(補正、意見書)が与えられます。

■指定国の官庁が拒絶通報可能な期間に拒絶の通報を行わない場合は、その国で意匠権が生じます。

6.維持管理


■国際登録は、国際登録の日から当初5年間有効であり、その後、更新手続により5年ごとの延長(複数回)が可能です。

■更新手続きの延長は、その指定国の保護期間に達するまで、5年ごとに延長ができます。

■その他、国際事務局に国際登録の名義人の氏名(名称)・住所(居所)の変更などが可能です。


国際出願に要する費用


ハーグ協定による国際出願に要する費用についてはこちらをご覧ください

外国で意匠を取得するのに要する費用